海外では「ヤギ銀行」という仕組みが存在するそうです。
これは、主に経済力の低い国の農村だと、まともな金融の仕組みが成立しないようなことが多々あります。
苗や種、家畜を買って増産をしたいなんて思っても、もともとの経済力が脆弱なためそれを買うお金もない、そしてそのためにお金を借りようとしても返す当てがないと思われて借りることもできない、という地域はとても多いのです。
そのため、生産力が低い地域はいつまでたっても生産力も上がらないし、なにかで生産力が落ちてもそれを回復することもできない、という悪循環にはまってしまうわけです。
そして、いつまでたっても貨幣経済や金融というものが定着せず、昔のままなにもかわらない貧しい暮らしを強いられてしまうわけです。
国全体がそのような地域ばかりだと、その国はいつまでたっても豊かになりません。
豊かではない国は政情不安となり、犯罪や内乱などの原因にもなります。
それをなんとかするためにと手を打つのが政府というものなのですが、そのような国の場合そこに費やす予算もない、なんてことも多く抜本的な手を打つことができないでいる国のほうがおそらく多いのでしょう。
そんななかで新しい金融の仕組みを作ることでこの悪循環を抜け出そうという動きが最近あるそうなのです。
そのひとつが「ヤギ銀行」です。
この仕組みは、
・農村の住人がヤギを借りる
・ヤギを育てて、乳を売って利益を出す
・ヤギを繁殖させる
・繁殖して増えたヤギを含めて、借りたよりも多い数のヤギを返却する
だいたいこのような仕組みなのだそうです。
この仕組みはカンボジアやネパール、バングラデシュ、ラオス、ベトナムなどで行われているようです。
一時的に金や物資を渡すのも確かに役には立つのでしょうが、持続的に自立的に飢えないようにする、貧困から抜け出す道筋をつける、という活動はとても大切だと思います。
前にも紹介した慈善団体のアクションエイドがアフリカの貧しい村にヤギを贈る運動もそうですが、このヤギ銀行の仕組みもNPOなど慈善活動を行う団体の支援を受けて行っていることも多いそうで、構造的に貧困をなくそうという動きの一つだと思います。
もちろん政府が主体となって行っている場合もあるようですが、新しい貧困救済の動きとして最近注目されているようです。
貧困削減の鍵 ヤギ銀行の研究にまい進 – 早稲田ウィークリー
【カンボジア】拡大するプレア・プット村ヤギ銀行 – 認定NPOテラ・ルネッサンス
そもそも私がこの仕組みを知ったのは、「銀行goat」=銀行強盗 というしょーもないダジャレをやろうとしたのがきっかけでした。
でも調べていく途中で、「Goat bank」というものを見つけ、なんだこれはと調べてみたところ、このような仕組みがあるということがわかりました。
不謹慎というか、バカにしている、とおもわれるようなことがきっかけでもそこから何かを得られることがあるのだと、改めて知った出来事でした。
きっかけはくだらないことだったとしても、そこから得られるものが大きいということもあるのなら、きっかけは何だっていいじゃないかと思うようになりました。
いずれにせよ、この取り組みもまだはじまってそれほどの年月の経っていない新しい取り組みです。
行われるようになってからまだ10年もたっていないようです。
そのうえまだまだ世界各地に広まっているとはいえない、新しい取り組みなので、これがどれだけ有効なのかという点もまだまだこれから判断されていく取り組みなのでしょう。
ですので、安易にこれが広まってほしいなどとは現時点ではまだ言えませんが、少なくともこれにより多くの人が救われて、その有効性が広まって、そして多くの地域で行われていけばいいな、とはやっぱり思ってしまいます。
なによりも、ヤギで救われる人がいる、ということ自体がヤギ好きにとってはありがたいお話なのですから。
というわけで今日は、ヤギ銀行についてでした。